障害者雇用促進法の改正(平成30年4月から)-労務トピックス(アングル2018年4月号)

  • 2018年4月1日公開

障害者雇用を促進する法律によって企業は法定雇用率以上の障害者を雇用しなければならないことが義務付けられています。今月号では、障害者雇用促進法の改正ポイントについてお伝えします。


障害者雇用促進法改正の主なポイント

障害者雇用率について

障害者の法定雇用率が、平成30年4月1日から以下のように変更されます。

障害者の法定雇用率

対象となる事業主の範囲が拡大します

今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が拡大し、従業員50人以上から45.5人に変わります。

これまで対象でなかった企業にも報告義務の範囲が拡大します。

障害者の法定雇用率が引き上げられた理由

これまでは身体障碍者または知的障害者のみが雇用義務の対象となっていましたが、今回から精神障害者も含まれることになりました。

障害者の法定雇用率が引き上げられた理由

上記のように、法定雇用率算出の対象に、精神障害者が含まれたことで、分子の部分が増加、結果として、雇用率が上がりました。※労働人口=常用労働者数+失業者数

精神障害者のカウント方法の変更

精神障害者の職場定着を促すため、法定雇用率制度や障害者雇用納付金制度(障害者雇用率未達成の企業に課せられるペナルティ)において、精神障害者である短時間労働者に関する算定方法が変更されます。勤務時間が週20時間以上30時間未満の精神障害者について、これまでの「0.5人分」「から「1人分」への引き上げとなります。一層の雇用促進につなげる狙いがあります。

精神障害者で短時間労働者が「1人」と認められる要件

  1. 精神障害者であり短時間労働者であること
  2. 雇入れから3年以内の方、または、精神障害者保険福祉手帳取得から3年以内の方
  3. 平成35年3月31日までに、雇い入れられ、精神障害者保険福祉手帳を取得した方

上記の全ての要件を満たすことが求められます。

改正を踏まえ、今後は障害者雇用を積極的に取組む企業が増えるのではないでしょうか。これからは、障害をハンデではなく、一個性と考え、多様な人々が最大限に能力を発揮できる環境づくりが求められます。


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