男性への「産休」改正育児・介護休業法が成立!

  • 2021年6月17日公開

2021年6月3日の衆議院本会議で男性版産休制度を盛り込んだ改正育児・介護休業法が成立しました。男性の育児休業をめぐっては、2019年度の取得率はわずか7.48%。さらに育休取得者の7割は短期間(1週間以内)の休業となっています。

内閣府の調査によると男性の育児休業が進まない原因には、「職場が男性の育児休業を認めない雰囲気である」といった職場風土の問題に加え、「休業中は収入が減ってしまう」と回答している人が多く見受けられます。

こうした実態を改善するため、今回の法改正では新たな制度の導入が予定されています。

育児休業取得率の推移

厚生労働省:雇用均等基本調査

1か月以上の育児休業を取得しない理由

内閣府:新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査

男性に出生時育休を新設。分割取得も可能に!

出産直後に男性の育休をとりやすくするために出産日から8週間以内に最大4週間の育休を取得できる新しい仕組みが導入されます。

現行の制度においてもパートナーの出産に伴い、男性が産後休業期間に育休(パパ休暇)を取得する制度は設けられていますが、原則として1か月前までの申出期限があるため、出産が早まった場合は、1か月前の申出に間に合わず、育休が取得できないといった問題がありました。

法改正では、これらの問題を解消するために、次の内容が盛り込まれています。

  • ①休業の申出期限を原則として休業2週間前までとする
  • ②産後8週間の間の育児休業は2回に分けて分割取得することも可
  • ③産後8週間の間の育児休業は2回に分けて分割取得することも可

現制度では、1歳までの育児休業は、原則として1人の子につき1回の育児休業が取得できますが、改正後は男女問わず、2回までの分割取得ができるようになります。

つまり、出生時育休を含めて子どもが1歳になるまで男性は計4回、女性は2回に分けて、育児休業を取得することができるようになります。1歳過ぎてから保育園に入れない等の特別の事情がある場合においても夫婦間による育児休業の途中交代が可能となりますので、まさに子育てと仕事の両立が実現しやすくなることが期待されます。

厚生労働省:第34回労働政策審議会雇用環境・均等分科会_【参考資料】男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集

公表や環境の整備など義務化されるもの

④育児休業取得率の公表を義務化

育児休業をとりやすい風土を作るための施策の一環として、2023年4月から大企業(従業員1,000超)では、男性の育児休業の取得率の公表が義務づけられます。まさに男性の育休取得を後押ししていくことが企業側に求められます。

⑤育児休業を取得しやすい雇用環境の整備と休業取得の意向確認を義務化

妊娠や出産を申し出た従業員に対して制度の説明や育休取得の働きかけを義務づけるほか、男女問わず育休取得の意向について、企業側から確認しなければならないルールとなります。(これらの働きかけを怠った場合には、企業名の公表あり)。

男性の育休取得を促進させるために様々な制度を盛り込んだ今回の法改正。これまでは、男性が育休をとることが「特別な事」という雰囲気の中で、男性が育休をとるとは言い出しにくく、その職場風土が男性の育休取得を妨げていると指摘されていました。

2022年4月からは、企業側から育児休業取得の意向を聞かなければなりません。男性が育児休業の取得を前向きに検討できるよう、職場環境を整備する必要があるでしょう。


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