「雇用保険法等の一部を改正する法律」仕事と介護・育児の両立支援に関する改正-労務トピックス(アングル2016年8月号)

平成28年3月29日に「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。この中には、雇用に関する様々な法律の改正が含まれています。特に、仕事と介護・育児の両立支援に関する改正については、就業規則等の改正が必要となりますので、影響は大きいとみられます。今月号では、介護関連に焦点をあてご紹介します。


(1)介護休業の分割取得が可能に

介護休業給付率が、賃金の40%から67%へと引き上げられます。平成28年8月以降に開始する介護休暇から、67%の支給となります。

(2)介護休業の分割取得が可能に

現在、介護休業(93日)は、対象家族1人につき「常時介護を必要とする状態ごとに1回」しか取れませんでしたが、3回まで分割取得ができるようになりました。

(3)介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化

介護休暇の取得単位が1日から半日へと柔軟化されます。デイサービスのお迎えや病院への付き添いといったニーズに細かく対応することができます。

(4)介護終了まで所定外労働の免除が可能に(新設)

介護終了までの期間について、労働者が所定外労働の免除を請求できる権利が新設されました。つまり、残業等を断る権利が与えられた、ということです。請求期間等については一定の制約があります。

(5)介護のための所定労働時間の短縮措置(選択的措置義務)

介護のための選択的措置義務(短時間勤務、フレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、介護サービス費用の助成等から事業主が選択)については、利用開始から3年の間で少なくとも2回以上の利用(申し出)が認められるようになります。

(6)対象家族の範囲拡大

介護休業の対象家族の範囲が、拡大されました。これにより、祖父母、兄弟姉妹及び孫が、離れた場所に住んでいたとしても、介護休業等が取得できることになります。

(7)有期契約労働者の介護休業の取得要件緩和

有期契約労働者については、これまで、

  1. 雇用期間1年以上
  2. 93日以降の雇用継続見込み
  3. 93日~1年までに労働契約が更新されないことが明らかでないこと

が介護休業の取得要件となっていました。改正により、2.は削除され、また3.については「93日~6か月までの間に、労働契約満了が明らかでない」と条件が緩和されます。

(1)は平成28年8月1日から、(2)から(7)は平成29年1月1日からの改正となります。

少子高齢化が進む中で、高齢者や女性等の就業促進と雇用継続を図る措置が盛り込まれています。


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