労働基準法の改正 年次有給休暇5日(年間)の取得が義務化に!-労務トピックス(アングル2018年7月号)

  • 2018年7月2日公開

労働基準法の改正により年次有給休暇5日の取得が義務化されます。御社の従業員の年次有給休暇の取得状況はいかがでしょうか。

ここ10年ほど日本企業における年次有給休暇の取得率は、50%を切る水準で低迷しています。政府はワークライフバランスの実現に向け、平成32年までに年次有給休暇の取得率を70%にする目標を掲げるとともに平成27年に一度、年次有給休暇の義務化を発案しましたが、その時は成立には至らず、3年の時を経ていよいよ平成31年4月1日(施行予定)から年次有給休暇5日の取得が義務化されます。


「年次有給休暇5日」の時季指定権

今回予定されている労働基準法改正案では、年に10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、1年間で最低「5日間」は年次有給休暇を取得させることを企業側の義務として追加されました。

年に10日以上の年次有給休暇を付与される労働者の範囲

労働基準法では、入社日からの勤続期間に応じ、労働日の80%以上出勤している労働者に年次有給休暇が付与されます。

右表の網掛け部分に該当する労働者(正社員、パート、アルバイト等の呼称に関わらず)が今回の年次有給休暇取得の義務対象となります。

ただし、時季を指定して年次有給休暇を与えなくてもよいケースもある!! 

改正の趣旨としては、年に5日の年次有給休暇でさえ取得することが難しい従業員に対し、会社はその5日間に対する時季指定権を持つことになり、「X月X日に年次有給休暇を取得してください」というものです。

ですから、計画的付与や自主的な取得で年に5日以上の年次有給休暇を消化している従業員は時季指定を行う必要がありません。

つまり、年次有給休暇の取得が年間5日に達していない従業員に対し、足りない日数のみ時季指定を行う必要があります。そのため、会社は年次有給休暇の管理簿を作成しなければなりません。

まずは、各従業員の年次有給休暇の取得状況を把握し、現状取得率が少ない従業員に対しては、年次有給休暇を取りやすい環境を整えていくことや計画的付与の導入等を検討してみてはいかがでしょうか。


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