パートタイム・有期雇用労働法の改正-2020年4月1日施行-(アングル2020年1月号)

少子高齢化がすすみ、労働生産力が減少していくなか、パートタイマーなどの非正規労働者は、労働者全体の約4割を占めており、今や日本の経済市場を支える重要な役割を担っています。「パートだから」という理由だけで正社員との間に不合理な待遇差がある問題を改善するために2020年4月1日より「パートタイム労働者・有期雇用労働法」が改正されます。

これにより雇用形態に関わらず、仕事内容や貢献度に応じ構成な待遇を確保し、ワークライフバランスと仕事の両立を維持しながら、それぞれの能力や意欲を十分に発揮できる環境整備が事業主に求められます。

※中小企業における適用は、準備負担を考慮し2021年4月1日より施行になります。

「パートタイム・有期雇用労働法改正」改正のポイント

1.不合理な待遇差の禁止

同一の事業所内において、正社員の方々と非正規社員の方々との間で、基本給、賞与、各種手当などのあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

これまでは、給与や福利厚生など常勤正社員との待遇差があってもその待遇差を説明する義務は定められていませんでした。しかし、今後は事業主に対し正社員と非正規社員との待遇差について説明を求められた際は、キチンと説明をしていかなければならない義務が生じます。

「パートだから」「役割期待が異なるから」といった主観的・抽象的説明では足りず、客観的に誰がみても「不合理ではない」と納得できる具体的な理由が求められます。

正社員と非正規社員との間で待遇差を設けている企業については、「その差が不合理なものではないか」現状の確認が必要です。もしその差が「不合理ではない」と言い難い場合には、改善に向けてご検討ください。

3.行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備

行政ADRとは、事業主と労働者との間の紛争に対して裁判をせずに解決する手続きのことをいいます。都道府県労働局において、無料かつ非公開の紛争解決支援手続きを行います。

パートスタッフに対する不合理な待遇差とは?

下記は全て違反になる可能性があります。根拠を具体的に説明できるよう準備が必要です。(下記は一例です)

□ 通勤手当を支給していない

□ 勤務日数が少ないので、皆勤手当を支給していない

□ 貢献度を評価できないので、賞与を支給していない

中小企業は2021年4月1日からの適用となりますが、就業規則や賃金規程の整備・見直しには、短時間労働者・有期雇用労働者を含む労使の話し合いや賃金原資なども考慮しながら検討しなければならないことがたくさんあります。

まずは自社の賃金規程を洗い出し、同一労働同一賃金の実現に向けた対応策を計画的に検討されることをお勧めいたします。

「同一労働同一賃金」の実現に向けて-検討サービス開始-

日本クレアス社会保険労務士法人では、「同一労働同一賃金」の実現に向けた検討を支援するサービスを新しく開始いたしました。現状分析から賃金支給基準の明確化、規程化まで本サービスを通して働き方改革への取組をサポートいたします。

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