セミナーレポート
日本クレアス社会保険労務士法人主催「働き方改革セミナー」-(3)年次有給休暇の時季指定義務

  • 2020年1月15日公開

【残業時間の上限規制】【有給休暇の義務付け】【同一労働同一賃金】働き方改革に伴うこれらの改正で、会社が求められている対応とは?日本クレアス社会保険労務士法人が主催した「働き方改革セミナー」では、実務上の問題点や裁判事例を挙げながら、実務の視点から「考え方」「今やっておくべき実務対応」について解説を行いました。第一部に引き続き、セミナーの内容をご紹介いたします。

同セミナーのレポートはこちらからご覧いただけます:
第一部:働き方改革が必要とされた背景
第二部:労働時間の上限規制


年次有給休暇の時季指定義務

日本の有給休暇取得率は50%と3年連続で最下位という結果がでました。ワースト2位のオーストラリアの70%と比較しても大きく引き離されています。有給休暇に関する意識調査によると「有給休暇の取得にためらいを感じる」という回答が約7割を占めています。

会社全体の有休取得率が7割を維持している企業でも実際に取得できている人とできていない人は混在していることが多く見受けられます。職種によっては、退職時にまとめて消化せざるを得ない企業も散見されます。

そこで年次有給休暇の取得促進のため、経営者の主導のもと取得しやすい雰囲気づくりや労使の年休に対する意識改革を図ろうと年次有給休暇の時季指定義務が労働基準法に追加拡充されました。

【改正労働基準法第39条7項】
使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について付与後1年以内に時季を指定して与えなければならない。

時季指定義務の対象となるのは、企業の規模や雇用形態問わず、年10日以上の年休を与えられている労働者になります。なお、前年繰越分を加えて10日以上になる労働者は対象にはなりませんので留意ください。

労働基準法通りの運用とは別に、法定基準日より前倒しで分割付与を行っている企業や年休管理の簡便化を図るために一斉付与方式を取り入れている企業もあります。
セミナーでは、分割付与とする場合や一斉付与に切り替える場合の実務対応のポイントについても解説いたしました。


■年次有給休暇の取得促進への対応

使用者が時季指定を行う際には、労働者の意見を尊重し、取得時季を指定する必要があります。そのため年次有給休暇の取得希望日を「どのタイミングで確認すればよいのか」について複数のパターンを例示しながら解説を行いました。

前半最後には、日ごろの労務顧問を通して寄せられた質問を多数ご紹介し、実務上のポイントを解説しました。例えば

■Q:時季指定は、半日単位、時間単位で付与することができるのか?
A:時間単位の年次有給休暇は、新たに労使協定を締結して運用することは可能ですが、5日の時季指定には含めることはできません。時季指定は、1日単位もしくは半日単位で運用する必要があります。

■Q:使用者が時季指定した年休日が到来する前に、従業員が自ら年休を取得した場合、使用者が時季指定した日はどうなるのか?
A:このケースで使用者が時季指定した日に取得をさせなくても違反にはなりません。

(セミナーで解説した実務対応のポイント抜粋)
■基準日から1年の途中に育児休業から復帰した従業員は時季指定の対象となるのか?
■最初に5日間指定したが、労働者が取得を拒み出勤した場合は?
■半年後に退職することが明らかな1年契約の社員にも6か月継続勤務で法定日数の年休を与えなければならないのか?
■年休請求を拒否して先に振替休の取得を命じることができるのか?
■最初に5日間指定したが、労働者が取得を拒み出勤した場合は?

その他、労働時間法制の見直しに関連し「改正労働時間等設定改善法」「改正労働安全衛生法」についても解説いたしました。
長時間労働によって健康障害にならないために、労働安全衛生法でも改善が進められていいます。


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