働き方改革関連法の成立と実務対応のポイント

働き方改革関連法の成立と実務対応のポイント(クライアント2019年2月号)

日本クレアスグループが発行している、医療関連のお客様に向けた広報誌「CLIANT‐クライアント」より、医療はもちろん、様々な業種の方々にご参考いただける労務関連のトピックを厳選してご紹介いたします。

国を挙げての取り組みである「働き方改革」。1947年の労働基準法制定以来、約70年ぶりとなる労働法制の大改正となりました。日本の古き悪しき慣習であった長時間労働を是正するため、事実上、青天井であった残業時間の上限を規制するほか、年休取得の義務化や労働時間の把握義務、勤務間インターバル制度導入促進等、改正点は多岐に渡ります。

さらに、非正規労働者の不合理な待遇格差を禁じるために、「同一労働同一賃金」の実現を柱とした「働き方改革」が2019年4月より順次スタートします。

■ 施行時期:2019年4月
残業時間の上限規制(大企業)/(中小企業は1年後の2020.04施行)
特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度
⇒医師については、医師法第19条第1項にもとづく応召義務等の特殊性を踏まえ、2024年度から適用されます。適用される時間外労働の上限時間等は2019年3月を目途に検討中です。

年休取得の義務化
年休のうち5日分までの時季指定を企業に義務化

フレックスタイム制の拡大
フレックスタイム制の清算期間の上限を3ヵ月に延長

勤務間インターバル制度
終業と始業の間に一定の休息時間を確保(努力義務)

労働時間の把握義務の明確化
管理監督者も含め客観的な方法による把握

■ 施行時期:2020年4月
同一労働同一賃金(大企業)/(中小企業は1年後の2021.04施行)

正規と非正規の待遇に不合理な差をつけることを禁止

改革に際し、「何から取り組むべきなのか?」「何から始めればよいのかわからない」といった声も聞こえてきます。医院が行うべき改革の第一歩は、自身の医院の現状(例えば、スタッフの労働状況や各種休暇取得の実態把握等)を把握すること、そしてその運用が適切になされているか否かを確認することがスタートになります。

恒常的な長時間労働がある医院では、「残業時間の上限規制」の影響を受けるため、まず労働時間の管理体制を見直し、業務の効率化を図る等、残業を削減する施策を今から検討する必要があります。

また、雇用形態の違いにより賃金格差が大きい医院では「同一労働同一賃金」の実現にあたり、状況次第では賃金体系の見直しが必要になるかもしれません。

残業時間の上限規制

時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要があります。医師等については5年間猶予されていますが、将来的には一般即適用の方向で検討が進んでいます。

年休取得の義務化

労働基準法の改正により年次有給休暇5日の取得が義務化されます。従業員の年次有給休暇の取得状況はいかがでしょうか。

ここ10年ほど年次有給休暇の取得率は、50%を切る水準で低迷しています。政府はワークライフバランスの実現に向け、平成32年までに年次有給休暇の取得率を70%にする目標を掲げるとともに平成27年に一度、年次有給休暇の義務化を発案しましたが、その時は成立には至らず、3年の時を経ていよいよ平成31年4月1日から年次有給休暇5日の取得が義務化されます。

年次有給休暇5日(年間)の取得が義務化されます!

今回予定されている労働基準法改正案では、年に10日以上の年次有給休暇が付与される労働者※に対し、1年間で最低「5日間」は年次有給休暇を取得させることを医院側の義務として追加されました。

年に10日以上の年次有給休暇を付与される労働者の範囲
労働基準法では、入社日からの勤続期間に応じ、労働日の80%以上出勤している労働者に年次有給休暇が付与されます。下表の太字部分に該当する労働者(正社員、パート、アルバイト等の呼称に関わらず)が今回の年次有給休暇取得の義務対象となります。

入社日からの勤続期間 通常 比例付与
週30時間以上又は週5日勤務 週30時間未満かつ週4日勤務 週30時間未満かつ週3日勤務
6か月 10日 7日 5日
1年6か月 11日 8日 6日
2年6か月 12日 9日 6日
3年6か月 14日 10日 8日
4年6か月 16日 12日 9日
5年6か月 18日 13日 10日
6年6か月以上 20日 15日 11日

年次有給休暇5日(年間)の取得が義務化されます!

改正の趣旨としては、年に5日の年次有給休暇でさえ取得することが難しい従業員に対し、会社はその5日間に対する時季指定権を持つことになり、「X月X日に年次有給休暇を取得してください」というものです。

(計画的付与や自主的な取得で年に5日以上の年次有給休暇を消化している従業員は時季指定を行う必要がありません。)

つまり、年次有給休暇の取得が年間5日に達していない従業員に対し、足りない日数のみ時季指定を行う必要があります。そのため、医院は年次有給休暇の管理簿を作成しなければなりません。

まずは、各従業員の年次有給休暇の取得状況を把握し、現状取得率が少ない従業員に対しては、年次有給休暇を取りやすい環境を整えていくことや計画的付与の導入等を検討してみてはいかがでしょうか。

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